アージーヴィカ教

アージーヴァカ教ともいう。裸形托鉢教団。

ブッダ入滅の百年後に、マウリヤ朝第三代国王アショーカ王が領土内の各地に残した石碑「アショーカ王碑文」に、仏教、ブラフマン教(バラモン教)、ジャイナ教と並んで、アージヴィカの名が刻まれている。古代インドにおいて、四大宗教のひとつに数えられる。

他の碑文によって、十三世紀まで存続していたことはわかっている。

ジャイナ教と仏教の記録によれば、アージヴィカ教の成立は古く、ジャイナ教開祖マハーヴィーラと仏教開祖ガウタマ・ブッダのふたりと同じ時代に生きていたアージヴィカ教の指導者はマッカリ・ゴーサーラであった。マッカリ・ゴーサーラはマハーヴィーラのもとで修業を積んでから、アージーヴィカ教の指導者になったとされる。

ジャイナ教と仏教の記録では、マッカリ・ゴーサーラはマハーヴィーラとの呪術戦に負け、ガウタマ・ブッダとの呪術戦に負けている。ジャイナ教の記録でマハーヴィーラとの呪術戦でマッカリ・ゴーサーラが命を落としたとあり、仏教の記録でガウタマ・ブッダの入滅時には生きていたとあることから、ガウタマ・ブッダの入滅後にマッカリ・ゴーサーラが亡くなったと考えられる。

アージーヴィカ教の教義は、「ニヤティ(宿命)」ですべて決まっているものとして、輪廻のカルマ(業)は無因無縁で存在しないという。したがって、仏教の「行いによってカルマ(業)が決まる」という考え方を否定した。

ではなぜ輪廻するかというと、すべて決まっている宿命で、「八百四十万大劫」という計り知れない年月を輪廻して清められるという。それなきにして、カルマ(業)を清めることは不可能だとされる。そのため、すべて決まっている宿命のなかで、行いに善悪はないという。

しかし、アージーヴィカ教では苦行は推奨される。それは「ニヤティ(宿命)」によって、本人の意思に関係なく清められるものを、苦行によって早めることができるとした。心、言葉、身体によるすべての行為が消滅するよう食事を減らしていき、最終的に飲まず食わずで死に至る「スッダーパーヤナ」によって、「八百四十万劫」の輪廻が終了するという。

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