七要素説パクダ・カッチャーヤナ

紀元前6世紀から紀元前5世紀のガンジス河中流域および下流域に現れた、ガウタマ・ブッダと同時代の思想家たちの一人。

彼は、地・水・火・風の四元素と、苦・楽・霊魂の計七元素で人間は構成されているとした。彼のいう苦・楽は、人間がどう感じるかの問題ではなく、人間が感じる前に独立して存在する実体だとした。これらの七要素は作られたものではなく、他のものを産み出すこともない。不変で安定しているという。物理学の質量保存の法則のように、あるいは、水の分子を水素と酸素に分離しても、水素と酸素は互いに壊さないように、彼がいう七要素も互いに影響し合わないという。
この理論から、人間が互いに影響し合うこともないし、剣が身を切ろうとも、七要素の間を通過するだけであるとした。ブラフマン教でいうカルマも存在せず、何をしてもいっさい変化しないという。

この時代は貨幣制度の定着と、都市の形成、さらには、宗教家と資産家の地位が逆転する社会という価値観の混乱があった。

参考文献:『NHKブックス111
原始仏教 その思想と生活』
中村元・著
NHK出版・刊
1970年3月20日発行

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